【最新】2026年に新たに世界遺産となった全25件を解説|第48回委員会(釜山)

世界遺産 2026 新規登録の結果が、韓国・釜山で開催された第48回世界遺産委員会で確定しました。ユネスコ公式の New Inscribed Properties 2026 によれば、新たに世界遺産一覧表に記載された遺産は全25件(文化19・自然5・複合1)です。

日本からは**飛鳥・藤原の宮都が7月26日に登録決定し、国内の世界遺産は27件**(文化22・自然5)となりました。

この記事は2026年7月30日時点の一次情報に基づき、新規に登録された遺産のみを一覧・解説します。

※日本語名は世界遺産検定の2026年新規登録資料に準拠します。

前年の確定結果は2025年新規登録まとめ2024年新規登録まとめをご覧ください。

第48回世界遺産委員会の概要

第48回世界遺産委員会(World Heritage Committee)は、ユネスコ世界遺産条約に基づき、新規登録の可否などを審議する年次会議です。2026年は韓国・釜山7月19日〜29日に開催されました(参照:UNESCO 48COM)。

本稿の対象は、同委員会で世界遺産一覧表への記載が確定した25件と、既存遺産のリスト変更が承認された3件です。候補時点の諮問機関推奨や、登録に至らなかった案件の整理は行いません。

2026年 新規登録一覧(全25件)

公式英語名・登録基準は UNESCO New Inscribed Properties 2026 に準拠します。日本語名は世界遺産検定の表記に準拠します。

遺産名(日本語)国・地域区分登録基準
アルヴァ・アアルトの作品群フィンランド文化(ii)
アラムート城と関連要塞群イラン文化(iii)
アマゾニアの劇場群ブラジル文化(ii)(iv)
サールナートの古代仏教遺跡インド文化(iii)(vi)
飛鳥・藤原の宮都日本文化(ii)(iii)
1944年のノルマンディー上陸作戦の海岸群フランス文化(vi)
グディニャ:モダニスト都市の中心部ポーランド文化(iv)
景徳鎮の手工芸磁器産業遺産群中国文化(ii)(iii)(iv)(vi)
アメル山の城塞群レバノン文化(緊急)(ii)(iv)
マンギスタウの岩窟モスク群と関連する聖地群カザフスタン文化(ii)(iii)
ラングドックのカペー朝の城塞群フランス文化(iv)
セバスティアパレスチナ文化(緊急)(iii)
タシュケントのモダニズム建築:中央アジアにおける近代性と伝統ウズベキスタン文化(iv)
匈奴の貴族の墓地遺跡群モンゴル文化(iii)
コモロのスルタン国時代の旧市街群コモロ文化(iii)(iv)
サントメとプリンシペのロサ(農園)群:植民地農業システムと強制移住サントメ・プリンシペ文化(iv)
18-19世紀のイタリア中部におけるイタリア式の共同所有型劇場システムイタリア文化(iii)
シディ・ブ・サイドの村チュニジア文化(iii)
ナコーンシータンマラートにあるワット・プラ・マハタート・ウォラマハーウィハーンタイ文化(ii)(vi)
アカバ海洋保護区ヨルダン自然(ix)(x)
ボマとバディンギロにおける動物の渡りの景観南スーダン自然(緊急)(vii)(ix)(x)
オケフェノキー国立野生生物保護区アメリカ自然(ix)(x)
リムフィヨルド西部の硬骨魚類の化石群―始新世前期における進化と気候への適応デンマーク自然(viii)
ワディ・ウラヤUAE自然(ix)
オリンポス山周辺地域ギリシャ複合(vi)(x)

日本 — 飛鳥・藤原の宮都(登録決定)

高松塚古墳
高松塚古墳

奈良県の**飛鳥・藤原の宮都は、2026年7月26日10:45(日本時間)、第48回世界遺産委員会で世界文化遺産への記載が決議**されました(文化庁 報道発表)。

資産は奈良盆地南部の橿原市・桜井市・明日香村にまたがる19の構成資産からなるシリアル遺産です。6世紀末〜8世紀初頭、中国の律令制を取り入れた中央集権国家が形成された過程を、宮殿・官衙跡、仏教寺院跡、墳墓が示します。代表的な構成資産には、日本最古級の仏教寺院跡である飛鳥寺跡、飛鳥宮跡・藤原宮跡、石舞台古墳、キトラ古墳、高松塚古墳などがあります。

  • 登録基準: (ii)(iii)
  • 国内の位置づけ: 世界遺産27件目/文化遺産22件目(2024年「佐渡島の金山」に続く)。保有数では世界11位
  • UNESCO Ref.: 1757

19の構成資産の詳細、見どころ、アクセスは**飛鳥・藤原の宮都の個別解説**を参照してください。日本の他の世界遺産については、古都京都の文化財厳島神社姫路城広島平和記念碑などの解説記事もあわせてご覧ください。

新規登録された文化遺産

以下は、緊急手続で登録された2件(セバスティア、アメル山の城塞群)を除く文化遺産の概要です。緊急3件は後述の専用節で扱います。

アルヴァ・アアルトの作品群(フィンランド)

公式英語名は Aalto Works です。建築家アルヴァ・アアルトとその協働者(アイノ・アアルト、エリッサ・アアルト、スタジオ等)による、1928〜1988年の近代建築・建築群13件がシリアル遺産として登録されました。都市・農村の双方に立地する公共・住宅・コミュニティ建築で、フィンランドの建築伝統と国際的なモダニズムを結びつけた、人間中心・敷地固有の設計が特徴です。

登録基準は**(ii)**です。20世紀近代建築運動へのフィンランドからの貢献を示す資産として評価されています。

アラムート城と関連要塞群(イラン)

イラン北部・カズヴィーン州のアルボルズ山脈に位置する、アラムート城と関連要塞6件(ランベサール、ナビザルシャー、シャムス・カラーイェ、コスティーンラール、シルクーフ、イラン)からなるシリアル遺産です。11世紀後半以降、ニザール派イスマーイールの政治・軍事・知的中心として機能し、1256年のアラムート陥落後も地域の宗教・知的史に影響を残しました。

登録基準は**(iii)**です。険しい山地に展開した要塞ネットワークが、ニザール派国家の組織と耐久性を物語ります。

アマゾニアの劇場群(ブラジル)

構成資産は2件です。パラ州ベレーンのテアトロ・ダ・パズと共和国広場、アマゾナス州マナウスのテアトロ・アマゾナスとサン・セバスチャン広場です。ゴム景気(1879〜1912年頃)の「黄金時代」に建設された劇場と広場のアンサンブルで、フランス・欧州様式の建築にアマゾンを想起させる装飾が施されています。

登録基準は**(ii)(iv)**です。港湾都市・州都としての野心と、ゴムブーム期の富・威信を象徴する都市文化遺産として登録されました。

サールナートの古代仏教遺跡(インド)

バラナシ近郊のサールナートは、釈迦が初めて説法(初転法輪)を行ったとされる仏教の四大聖地の一つです。仏塔・寺院・僧院跡が残り、18世紀の再発見以降も巡礼・観光の場となっています。登録名は公式に Ancient Buddhist Site of Sarnath として整理されています。

登録基準は**(iii)(vi)**です。仏教の聖地としての考古・建築遺構と、世界的な巡礼地としての意義が評価されています。

1944年のノルマンディー上陸作戦の海岸群(フランス)

ノルマンディー米軍英霊墓地
ノルマンディー米軍英霊墓地

ノルマンディー海岸約80kmに広がる6構成資産(ユタ、オマハ、ゴールド、ジュノー、ソード各海岸、およびポワント・デュ・オック)が登録されました。1944年6月6日の連合軍上陸作戦(オーバーロード作戦の開始)に直結する戦場・大西洋の壁の遺構・記念景観(コレヴィル=シュル=メールの米軍墓地など)が一体となっています。

登録基準は**(vi)**です。第二次世界大戦の転換点と、その記憶の風景を伝える文化的景観として位置づけられます。フランス関連はパリのセーヌ河岸モン・サン=ミッシェルも参照してください。

グディニャ:モダニスト都市の中心部(ポーランド)

バルト海沿岸の港湾都市グディニャの、両大戦間期に形成されたモダニスト都市中心部が登録されました。東西・南北の主要な街路に沿った街区と、当時の建築物の多くが残り、漁村から第一共和制ポーランドの海の玄関口へと変貌した都市計画を示します。

登録基準は**(iv)**です。歴史主義からの転換と、街区単位でのモダニズム建築の大規模適用が評価されています。

景徳鎮の手工芸磁器産業遺産群(中国)

江西省景徳鎮の、10〜19世紀にわたる手工磁器生産の進化を示すシリアル遺産(5構成資産)です。原料の採掘・運搬、窯の設計革新、生産の空間・社会組織まで、工程全体が残されています。官窯と民窯、ギルド、商人組合が共存した町並みと、「二元配合」などの技術革新が特徴です。

登録基準は**(ii)(iii)(iv)(vi)**です。磁器技術の発展と世界的流通を示す産業遺産として登録されました。

マンギスタウの岩窟モスク群と関連する聖地群(カザフスタン)

公式英語名は Rock Mosques and Associated Sacred Sites of Mangystau です。カスピ海に面するマンギスタウ半島の岩窟モスクと広大な墓地からなるシリアル遺産で、委員会決定では構成資産ベケット・アタを除く4聖域(ショパン・アタ、カラマン・アタ、シャクパク・アタ、スルタン・エペ)が登録されました。12〜14世紀を中心にスーフィーの聖者と結びつき、遊牧環境のなかで祖先崇拝や景観の聖性を取り込みながら発展した聖地です。

登録基準は**(ii)(iii)**です(推薦時に含まれていた基準(vi)は最終決定では採用されていません)。洞窟・岩壁・地下に掘られた礼拝空間と、生きた巡礼の伝統が評価されています。

ラングドックのカペー朝の城塞群(フランス)

公式登録名は Royal Capetian Fortresses of Languedoc です。カルカソンヌの城塞・城壁と、アギラール、ラストゥール、モンセギュール、ペイルペルトゥーズ、ピュイローラン、ケリビュス、テルムの要塞など8構成資産からなります。アルビジョワ十字軍後の13〜14世紀、カペー朝がカルカソンヌ総督府を軸に領土支配を固めた防衛体系を示します。

登録基準は**(iv)**です。険しい尾根に適応した壮麗な軍事建築として評価されています。

タシュケントのモダニズム建築:中央アジアにおける近代性と伝統(ウズベキスタン)

1966年の大地震後の復興期(1960年代〜1990年代初頭)に建設された、タシュケントのモダニズム建築・都市複合10件が登録されました。博物館、展示場、ホテル、住宅群、文化・科学施設など機能が幅広く、再建された都心軸に沿って配置されています。

登録基準は**(iv)**です。工業化施工・耐震工学と、地域の気候・材料・伝統を融合した後期ソビエト期モダニズムの代表例です。

匈奴の貴族の墓地遺跡群(モンゴル)

匈奴(Xiongnu)貴族の墳墓複合8件からなるシリアル遺産です。紀元前3世紀〜紀元2世紀頃、ユーラシア草原に勢力を築いた遊牧連合の葬制を示し、大規模な主埋葬、環状マウンドの衛星墓、対石の祭祀構造などが特徴です。

登録基準は**(iii)**です。主に遊牧的な文化の工学・組織力と、シルクロード草原ルート上の交流を物語る考古遺産として登録されました。

コモロのスルタン国時代の旧市街群(コモロ)

コモロ諸島の、少なくとも11世紀頃から都市核として発展し、14〜15世紀に都市国家、のちにスルタン領の主要都市となった**6つの歴史的メディナ(旧市街)**が登録されました。母系・母方居住の慣習、年齢階梯、イスラムの父系伝統が共存する社会組織と、インド洋交易・移住に根ざした島嶼都市形態が特徴です。

登録基準は**(iii)(iv)**です。コモロ初の世界遺産となり、コモロ連合は新たに世界遺産保有国となりました。

サントメとプリンシペのロサ(農園)群:植民地農業システムと強制移住(サントメ・プリンシペ)

サントメ島・プリンシペ島に残る、コーヒー・カカオ栽培を中心としたコロニアル期プランテーション(ロサ)6件(モンテ・カフェ、アグア・イゼ、ディオゴ・ヴァス、サン・ジョアン、サンディ、ベロ・モンテ)が登録されました。農地・産業施設・居住区・社会施設が一体となった計画的レイアウトが特徴です。

登録基準は**(iv)**です。奴隷制廃止後も続いた強制移住労働に支えられた大規模植民地農業システムを示し、サントメ・プリンシペ初の世界遺産となります。同国も新たに世界遺産保有国となりました。

18-19世紀のイタリア中部におけるイタリア式の共同所有型劇場システム(イタリア)

エミリア=ロマーニャ、マルケ、ウンブリアに立地する、18世紀半ば〜19世紀末のイタリア式共同所有型(コンドミニオ)劇場10件が登録されました。階層状のボックス席、音響・視認性を意識した客席、フォワイエ、歴史的舞台機構などを備え、自治体と市民が共同出資する方式で建設された点が特徴です。

登録基準は**(iii)**です。中小都市に広がった市民文化と公共空間としての劇場の役割が評価されています。

シディ・ブ・サイドの村(チュニジア)

チュニス近郊、地中海を望む岬に立つ村落です。12〜13世紀のスーフィー聖者シディ・ブ・サイドの墓を核に発展し、崖地形と調和した建築、象徴的な色彩、神秘的な雰囲気で知られます。

登録基準は**(iii)**です。地形・建築・スピリチュアリティが一体となった地中海的景観として登録されました(公式名は Village of Sidi Bou Saïd)。

ナコーンシータンマラートにあるワット・プラ・マハタート・ウォラマハーウィハーン(タイ)

タイ南部ナコーンシータンマラート県の、8世紀創建以来の地域仏教の中心寺院です。ブラフマン教・ヒンドゥー・大乗・上座部など多様な宗教・建築伝統の影響が統合され、チェーディを核とする構成が東南アジアの宗教建築史に位置づけられます。

登録基準は**(ii)(vi)**です。1500年以上続く宗教・地域伝統(年代記、大仏塔の布巻き儀式、ノーラ舞踊など)も評価されています。

新規登録された自然遺産

緊急手続の「ボマとバディンギロにおける動物の渡りの景観」は後述の緊急節で扱います。

アカバ海洋保護区(ヨルダン)

紅海最北端に位置する海洋保護区です。サンゴ礁・海草藻場・中深度サンゴ礁がモザイク状に広がり、世界最北の熱帯サンゴ礁系として知られます。熱波・高塩分・夏季高温に適応した熱耐性サンゴ、約150種以上のハードコーラル、500種超の魚類、1000種の軟体動物などが挙げられます。

登録基準は**(ix)(x)**です。紅海固有種の保全と、将来的な国境を越える資産化の可能性も議論されています。

オケフェノキー国立野生生物保護区(アメリカ)

オケフェノキー国立野生生物保護区
オケフェノキー国立野生生物保護区

ジョージア州南東部〜フロリダ州北東部に広がる、亜熱帯帯で最大級の低地淡水泥炭湿地です。水・火・植生・野生生物の相互作用が泥炭形成と生物多様性を駆動し、絶滅危惧のロングリーフパインサバンナの残存域も含みます。

登録基準は**(ix)(x)**です。植物856種以上、哺乳類48種、鳥類238種など、北米沿岸平原のホットスポットとして評価されています。

リムフィヨルド西部の硬骨魚類の化石群―始新世前期における進化と気候への適応(デンマーク)

ユトランド北部、リムフィヨルド西部のハンクリットとクヌーデクリントの海岸崖からなるシリアル遺産です。白亜紀末の大量絶滅後における現代型硬骨魚類の初期進化と、暁新世〜始新世温暖化極大(PETM)への生物応答を示す、世界屈指の魚類化石産地です。

登録基準は**(viii)**です。珪藻土・火山灰層に保存された豊富な化石記録が、最初期始新世の生物圏を復元する鍵となります。

ワディ・ウラヤ(UAE)

フジャイラ首長国、ハジャール山脈内のワディ・ウラヤが登録されました。後期白亜紀のオフィオライトがよく露出する地質と、乾燥林地・低木林の生態系が特徴で、記録種1099(動物883・植物216)、地球規模で絶滅危惧の種も含まれます。

登録基準は**(ix)**です。国内の陸生哺乳類・爬虫類の約半数を含む、高い固有性と生態的独自性が評価されています。

新規登録された複合遺産

オリンポス山周辺地域(ギリシャ)

ギリシャ最高峰オリンポス山とその周辺が、複合遺産として登録されました。海に近い急峻な山岳が多様な地形・気候・植生を生み、古代ギリシャ神話における十二神の住まいとして文明の象徴となってきました。氷河カール、石灰岩の断崖、カルスト、ネオテクトニクスを示す尾根・峡谷など、自然景観も顕著です。

登録基準は**(vi)(x)**です。神話・文明史の結びつき(文化)と、氷期避難地・地中海の植物多様性ホットスポット(自然)が一体として評価されています。

緊急手続で登録された遺産

ユネスコ発表によれば、次の3件は緊急手続で世界遺産一覧表に記載され、同時に危機遺産リストにも記載されました(参照:Facing major threats…)。

危機遺産については以下の記事でも詳しく解説していますが、ここでは緊急手続きで登録された3件の遺産を紹介します。

ボマとバディンギロにおける動物の渡りの景観(南スーダン)

ボマ国立公園・バディンギロ国立公園と周辺の氾濫原・サバンナからなる自然遺産です。スッド湿地系と東スーダンサバンナの接点にあり、シロミミコブ・ティアン・モンガラガゼルなど推定約600万頭規模の大型哺乳類の移動を支える景観として知られます。

登録基準は**(vii)(ix)(x)**です。南スーダン初の世界遺産であり、同国も新たに世界遺産保有国となりました。気候変動や開発による移動ルート分断のリスクを背景に、緊急手続と危機遺産同時記載が行われました。

セバスティア(パレスチナ)

西岸・ナーブルス近郊の考古遺跡です。少なくとも紀元前9世紀以降、イスラエル王国時代のサマリア=セバステを経て、ヘレニズム・ローマ・ビザンツ・イスラム、さらに十字軍・オスマン期までの重層が、比較的明瞭な考古痕跡として残ります。

登録基準は**(iii)**です。紛争下での損傷リスクを踏まえ、緊急手続で登録され、危機遺産リストにも同時記載されました。

アメル山の城塞群(レバノン)

公式英語名は Mount Amel Castles です。南部レバノンのアメル山(ジャバル・アメル)地方に広がる、5つの城砦(カラク・アル=シャキーフ=ボーフォート、ティブニーン、シャクラ、デイル・キーファ、シャマー等)からなるシリアル遺産です。中世から19世紀にかけて十字軍・アイユーブ・マムルーク・オスマン・地方領主が占拠・改修し、地域の防衛・統治ネットワークを形成しました。

登録基準は**(ii)(iv)**です。2026年6月に緊急案件として追加審議され、登録と危機遺産同時記載が行われました。

関連 — 既存世界遺産の変更承認(3件)

新規25件とは別に、既存の世界遺産について次の変更が承認されています(UNESCO New Inscribed Properties)。

ゲボル:韓国の干潟(第二段階) — 境界の重大な変更

2021年登録の「ゲボル:韓国の干潟」に構成資産を追加する拡大です。黄海東部の干潟生態系の多様性(河口・外洋・群島・半閉鎖)をさらに代表する範囲が組み込まれました。登録基準は**(x)**(記載年は既存資産に準拠)。

ベルリンのモダニズム公共住宅 — 境界の重大な変更

2008年登録の「ベルリンのモダニズム公共住宅」に、ヴァルトジードルング・ツェーレンドルフ(1926〜1932年)を追加する拡大です。樹林地との一体化、交通インフラ、全面的な陸屋根、色彩原理、彫刻的ファサードなどが、既存6住宅地を補完します。登録基準は**(ii)(iv)**。

ガランバ国立公園 — 登録基準の変更

1980年登録のガランバ国立公園について、従来の基準**(vii)(x)**から (ix)(x) への再ノミネート(基準の変更)が承認されました。ギニア・コンゴ林とスーダンサバンナの移行帯としての森林—サバンナモザイク、火災・草食・季節洪水などの生態過程、豊富な大型哺乳類相が再評価されています。

関連 — 危機遺産リストと名称変更

新規登録25件の射程外ですが、同委員会では危機遺産リストの出入りと既存資産の英語名変更も行われています(世界遺産検定資料)。

  • 危機遺産リスト入り(6件): パラマリボの歴史街区(スリナム)、タウリカ半島の古代都市とチョーラ(ウクライナ)、フェニキア都市ティルス(レバノン)、ならびに緊急登録と同時記載のボマとバディンギロにおける動物の渡りの景観、アメル山の城塞群、セバスティア。危機遺産総数は58件
  • 危機遺産リスト脱却(1件): ウィーンの歴史地区(オーストリア)
  • 名称変更: ホレズの修道院(ルーマニア)の英語名が Monastery of Horezu から Hurezi Monastery

また、コモロ連合・南スーダン共和国・サントメ・プリンシペ民主共和国が新たに世界遺産保有国となり、締約国196のうち世界遺産を有する国・地域は173となりました。

まとめ

2026年の世界遺産 新規登録は、釜山・第48回世界遺産委員会で全25件(文化19・自然5・複合1)が確定し、世界遺産総数は1,273件となりました。日本からは**飛鳥・藤原の宮都が7月26日に登録決定し、国内の世界遺産は27件**となりました。あわせて、既存遺産の境界拡大2件と登録基準の変更1件が承認されています。次回(第49回・2027年)はトルコ・イスタンブル開催予定です。

本記事は登録・承認された案件のみを対象とした確定版です。一次情報の確認は UNESCO New Inscribed Properties 2026World Heritage Committee 2026世界遺産検定 2026年新規登録PDF をご覧ください。前年の結果は2025年新規登録まとめ2024年新規登録まとめもあわせてどうぞ。

参照(2026年7月30日): 文化庁 飛鳥・藤原の宮都 決議同・決議概要PDF、UNESCO 48th sessionNew Inscribed Properties 2026World Heritage Committee 2026世界遺産検定 2026年新規登録Draft Decision 48 COM 8B.20(マンギスタウ)

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筆者情報

伊藤

慶應義塾大学文学部卒業。在学中は西洋史学を専攻し、20世紀におけるアメリカの人種差別問題を題材に卒業論文を執筆。2021年に世界遺産検定1級を取得し、2024年には美術検定2級も取得。スタートアップ企業でCTOを務める傍ら、世界遺産クエストを通じて、世界遺産に関する発信活動を行う。