エジプトといえば、誰もが思い浮かべるのがピラミッドではないでしょうか。特にギザの三大ピラミッドは、古代エジプト文明の象徴として世界中の観光客を魅了しています。
そこでこの記事では、ギザの三大ピラミッドの魅力や歴史、アクセスに関する情報などをお届けできればと思います。これから現地に行く予定がある方もそうでない方も、実際に行った気分になってお楽しみください。
ギザの三大ピラミッドとは?

ここではまず、ギザの三大ピラミッドの基本情報としてその歴史や建築技術について詳しく解説します。
ギザの三大ピラミッドは世界遺産
ギザの三大ピラミッドを含むメンフィス周辺の一帯は「メンフィスのピラミッド地帯」として世界遺産に登録されています。その中でもギザの三大ピラミッドは4,500年以上の歴史を有し、古代世界の七不思議のうち唯一現存する建造物であることから、人類史上最も重要な遺跡として扱われています。
ギザの三大ピラミッドの歴史
ギザの三大ピラミッドがあるメンフィスは、古代エジプト古王国時代(紀元前2650年ごろ〜紀元前2120ごろ)の首都で、ピラミッドを初めて建造させたのは古王国時代第3王朝のジェセル王とされています。古王国時代以前に日干しレンガなどを用いて造られていたマスタバと呼ばれる墳墓に替わる形で、ピラミッドは王を埋葬する墓所として次々と建造されました。
メンフィス周辺ではギザからダハシュールにかけて合計38基以上のピラミッドやその他の建造物が点在しておりますが、その中でも特に有名なのがギザの三大ピラミッドと呼ばれる以下の3つです。
- クフ王のピラミッド:紀元前2580年頃に建設された、最も大きなピラミッド
- カフラー王のピラミッド:クフ王の息子であるカフラー王によって建設
- メンカウラー王のピラミッド:クフ王の孫であるメンカウラー王によって建設。三大ピラミッドの中では最も小さい
ピラミッドがどうやって建てられたかはいまだに謎
大きな石を積み上げることで建築されている古代エジプトのピラミッド建造には、何万人もの人々が関わったとされていますが、具体的にどのような方法で大きな石を積み上げたのか、いまだにその建造方法は謎とされています。近年、周辺から労働従事者のための宿舎跡が見つかったことから、建造は農閑期に人々を動員する一種の公共事業として行われたとする説もあります。
ギザの三大ピラミッドの魅力

ここからは三大ピラミッドのそれぞれの魅力を紹介したいと思います。
クフ王のピラミッドは最も大きく世界七不思議の一つでもある
クフ王のピラミッドは、エジプトのギザ高原に位置する最も大きなピラミッドで、世界七不思議の一つとして知られています。紀元前2580年頃に建設されたこのピラミッドは、エジプト第4王朝のファラオ、クフ王(ケオプス王)によって建てられました。ピラミッドの基底部は230.4メートル四方で、当初の高さは146.6メートルに達していましたが、現在では138.8メートルとなっています。
ピラミッドは約230万個の石灰岩ブロックで構成されており、各ブロックの重さは約2.5トンから15トンに及びます。この巨大な構造物は、クフ王の権力とエジプト文明の高度な技術力を象徴しています。ピラミッドは「ホライズンのクフ」とも呼ばれ、クフ王の威厳と神聖さを伝えるために建てられました。
カフラー王のピラミッドはクフ王の息子によって建設
カフラー王のピラミッドは、ギザの三大ピラミッドの中で2番目に大きなピラミッドです。クフ王の息子であるカフラー王によって建設され、紀元前2558年から2532年の間に完成しました。高さは元々143.5メートルでしたが、現在は136.4メートルとなっています。
カフラー王のピラミッドは、クフ王のピラミッドの南西に位置し、その独特な特徴として、頂上部分にまだ一部の石灰岩の外装が残っている点が挙げられます。これにより、当時のピラミッドがどれほど美しく輝いていたかを垣間見ることができます。また、このピラミッドは他の2つと比べて急な傾斜角を持ち、その力強い外観が印象的です。
また、カフラー王のピラミッドの前には、エジプトで最も有名なモニュメントの一つである大スフィンクスが鎮座しています。大スフィンクスは、ライオンの体と人間の頭を持つ巨大な彫像で、カフラー王の顔を模して作られたとされています。このスフィンクスは、カフラー王の権威と神聖さを象徴するものであり、ピラミッドとの強い関係性を持っています。
メンカウラー王のピラミッドは最も小さい
メンカウラー王のピラミッドは、ギザ高原に位置する三大ピラミッドの中で最も小さいピラミッドです。エジプト第4王朝のファラオ、メンカウラー王(紀元前2532年~2503年)によって建設されました。ピラミッドの基底部は102.2メートル四方で、元々の高さは65.5メートルでしたが、現在では約61メートルとなっています。
メンカウラー王のピラミッドは、他の二つのピラミッドと比較して小型ですが、その精巧な建築と美しい外観が特徴です。ピラミッドの外壁には、部分的に花崗岩が使用されており、他のピラミッドとは一味違った風格を持っています。また、ピラミッドの周囲には、メンカウラー王の家族や高官のための副ピラミッドが建てられています。
ギザの三大ピラミッドが世界遺産に登録された理由
ギザの三大ピラミッドを含むメンフィス周辺の一帯は「メンフィスのピラミッド地帯」として世界遺産に登録されていますが、これらの遺産がどのような理由で世界遺産として認められたのかも見ていきましょう。
基準(ⅰ)ピラミッドが人間の創造的才能を表す傑作であること
ギザのピラミッドは、古代世界の七不思議で唯一現存する重要な建造物であり、その建築設計は未だに類を見ないものであるため、建造技術の解明に向けた科学的研究が現在も続けられています。また、サッカラのピラミッド群も建築史上の傑作であり、世界初の大規模な石造建築および初めて建造されたピラミッド(ジョセル王の階段ピラミッド)が含まれています。
こういった背景から世界遺産の登録基準(ⅰ)「人間の創造的才能を表す傑作」として認められました。
基準(iii)古代エジプト文明の存在を証明として
メンフィスの建造物群と関連する考古学的遺構は、古代エジプト文明の誕生を証明する例外的な遺跡群です。サッカラの古代ネクロポリス、エジプト最古の石造ピラミッド(ジョセル王の階段ピラミッド)、葬祭建築の発展を示す墓やピラミッド群、都市遺跡が一体となり、エジプト古代王都の権力と組織力を証明する貴重な証拠となっています。
そのため、登録基準(ⅲ)「文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在」と認められました。
基準(iii)古代エジプトの普遍的価値を有する思想や信仰
メンフィスはネクロポリスの神「プタハ」に関連する宗教的信仰と深く結びついています。また、この都市は、地球上で最も輝かしく、長く続いた文明の一つである古代エジプトの卓越した思想、芸術作品、技術と関連付けられています。
これらが登録基準(ⅵ)「顕著な普遍的価値を有する思想、信仰」と結び付けられました。
参考:『Memphis and its Necropolis – the Pyramid Fields from Giza to Dahshur』(UNESCO)
ギザの三大ピラミッドへのアクセスと観光情報

さて、ここからは実際にギザの三大ピラミッドやメンフィスへの観光を計画している方向けに、アクセスや周辺の観光情報をお届けします。
ギザの三大ピラミッドへのアクセス・行き方
ギザの三大ピラミッドに行くためには、首都カイロから公共交通機関(バス、タクシーなど)を利用する方法やタクシーやUberなどの自動車など様々な移動方法がありますが、その中で最も一般的なのがタクシー・Uberでの移動です。車での移動時間はおよそ35分程度で、カイロからはタクシーやUberも見つかりやすく、費用としては1,000円以内が目安です。
一方、費用面で最安なのはバス、もしくは電車+バスの組み合わせで、カイロ市街からのギザ行きのバスはエジプト考古学博物館のバス停から出発していて、料金は100円程度です。
また、地下鉄ではGiza Stationまで約20円で行くことができ、Giza Stationからはさらに約20円で乗合のバスに乗ることでピラミッドに行くことができます。
あわせて行きたい周辺の観光スポット3選
ギザの三大ピラミッドに行くなら立ち寄りたい、歴史や芸術が好きな方におすすめの周辺スポットを紹介します。
エジプト考古学博物館 | 歴代ファラオの像や、象形文字の暗号を解読したロゼッタ・ストーンなどをはじめとする多数の古代エジプトの遺物コレクションは必見です |
スフィンクス | ギザの三大ピラミッドがあるメンフィスのピラミッド地帯にあり、カフラー王のピラミッドの前から見ることができます |
サッカラ | マスタバなど、ピラミッド登場以前の遺跡などを目にすることができます |
参考:『Giza & Ancient Wonders』(エジプト観光局)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
その歴史の長さもあって、ギザの三大ピラミッドや古代エジプトの歴史はまだまだ解明されていないことも多いだけに、知れば知るほど神秘的な気持ちになりますよね。
ぜひ、この記事をきっかけに実際に現地へ足へ運んでみたり、ギザの三大ピラミッドに関心を深めていただければ光栄です。